和傘について

和傘の使い方

和傘の使い方

和傘は決して安いものではありません。長く使い続けるためのポイントをご紹介します。

・和傘の持ち方

和傘の持ち方は洋傘とは異なります。洋傘は柄を持ち差しますが、和傘は柄の部分を下にして、『合羽』といわれる頭頂部分を持って差します。通常、合羽を持つと傘が広がらないようにできており、ぶら下げられるように合羽に紐がついているものもあります。

和傘の竹を束ねた要となる部分を「ロクロ」といいます。合羽がかぶさるところに「ロクロ」が入っており、この部分が衝撃で破損したり腐食したりすると修繕ができなくなります。傘を立てかけるときは、同じように柄を下して立てかけましょう。

・和傘の差し方

傘の絵柄を多く見せるために、写真撮影などでは歌舞伎役者のように斜めに持った差し方を多く見かけます。和傘を持ち慣れていない人にとっては、ずっしり重く感じられるため肩で支えがちになります。しかし、和傘はまっすぐに差さないと雨が滴り落ちてきて洋服着物が濡れてしまいます。芸妓・舞妓さんが和傘を持っている様子を見ると、必ず柄は肩にかけずにまっすぐ持っていることがわかることから、柄をまっすぐ持つことがマナーです。和傘は、顔から少し離したところで柄の下の部分を持ち差すと顔色が美しくみえます。

・和傘を使用する際の注意点

1.強風や降雪の時は注意

風にあおられると、まっすぐ骨が伸びている和傘はより壊れやすくなります。また、雪の日は和傘の上に雪が積もってしまい、その重みが原因で和紙が傷む原因となります。和傘の一部(蛇の目傘)は二段階に開くようにハジキ(止具)と呼ばれるパーツがついています。和傘を少しすぼめた状態で使うと、強風を避けたり雪が滑り落ちやすくしたり、といった対策ができます。

2.雨傘は直射日光に長時間さらさない

雨傘は油を敷いているため、光を透過してしまいます。UVカット効果がないため、番傘や蛇目傘の雨傘は日傘としての利用はお勧め致しません。雨傘に太陽の光を当てると、和紙に塗った油が黄ばみ劣化してしまいます。

・和傘のお手入れや保管について

1.使った後のお手入れ

濡れている傘の頭の部分を握るときは強い力を入れず、水気はタオルなどを使って軽くふき取りましょう。半開きにして、直射日光の当たらない陰干しで乾燥させます。その際も頭を必ず上にし、下に雑巾を敷いて立てかけておくと雨水を吸ってくれます。防水加工が施されていない日傘は雨非対応のため、濡れてしまった場合は完全に乾かし、閉じる前に紙の折り目を優しく直した状態でたたみましょう。

2.使わない日の保管法

風通しの良いところで保管しましょう。湿気の多いところでは、カビがはえる恐れがあります。しばらく使用していないと油が固まってしまい、和紙と和紙がくっついて離れにくくなる場合があります。

3.もしも穴が空いてしまったら

和紙が少し破れた程度であれば、小さい和紙を貼って塞ぐことができます。また購入したところが修繕対応可能であれば和紙の貼り替えを行うことにより長く使う事も可能です。ただし、和傘は特別な場合(祭事用等の取替ができないもの等)を除き、傘布を剥ぎ張り直しを行うため、生産以上の時間がかかりますので、その分コストも高くなります。修理は同じものを購入する場合の1.5倍から3倍費用、納期がかかる可能性が高いです。

・和傘専用の傘袋もおすすめ

和傘は、コンビニなどの傘立てに入らないだけでなく、商業施設などに入る際にあるビニールの傘袋には入りません。そんな時に便利なのが、専用の傘袋です。取手がついているため、手が塞がらず持ち運びができます。

正しく丁寧に取り扱えば、長持ちします。もったいなくて使えないといった方もいらっしゃるかと思いますが、ただしまっているだけでも自然素材ですから少しずつはどのみち劣化はします。せっかくなので自身のお気に入りの逸品を手に入れどんどん使っていってほしいというのが職人さんの想いなのではないでしょうか。

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